コラム

ウエットスーツの三重苦:動きが重たくなる原因

こんにちは〜
体軸テクニカル・サーフコーチの林です。
@館山のRPCから、、、

何故、この記事を書いているのか?

それはこういう情報があるということを知ってほしいから。
そして、知っている知らないでは、大きな違いが生まれますよね〜

ウエットを買ってガッカリするのか?
それとも、おお〜やはりこれは良い!買って良かった!
って思うのは全然違いますからね〜^^/

ある意味、ウエットスーツを選ぶ上での情報格差。
失敗するのも、買って良かった〜♪って思うのも、選ぶ基準という情報次第。

話題になっててこれは良さそうだなぁ〜って思っても、買うのをちょっと考えようって思う事ありませんか?
良さそうだと思っているのに、何故か買わないのって直感的に??が付いているから。
選ぶ基準が出来れば、買って失敗した〜ってリスク減らせますよね^^

僕は26歳の時からウエットスーツ業界に関わって、2019年で17年経ちます。
そして、サーフコーチングをしながらカラダの使い方の研究をして行くことで、色々な事が解明されていくんですよね。
それって実はウエットスーツを開発したり進化させたりする上で、極めて重要で欠かす事が出来ない必要な要素です。
なぜなら、感覚という曖昧な情報ではなく、医学の1つである解剖学というエビデンス(証拠)があるからです。
ウエットスーツに応用していく時に”感覚で感じた事を解剖学を使って考える事”で、しっかりと効果を出す事が出来ます。
カラダが動く原理原則が解明されると、それを直ぐに応用してウエットスーツの設計に反映する事が出来ます。

実は、僕がパフォーマンス・スーツやパフォーマンス・インナーを開発した背景には

他のスポーツでは当たり前の取り入れられている”医学的要素”
ウエットスーツに取り入れられないのは、何故なの?

という疑問からはじまっています。

特にコンディショニングウエアとい言われる、機能性アンダーウエアは運動するときには当たり前になってますよね?
サーフィンで取り入れられないのはおかしいでしょ?って疑問を持ったんですよね〜〜

  • もっとパドルがラクになったら良いなぁ
  • セミドライを着て、動くが悪くなってテイクオフで足が引っかかる事が無くなったら良いなぁ
  • ウエットスーツを着て、動きが良くなったら最高じゃない??
  • オーダーしても、思ったほどじゃないなぁ〜って感じたくないよなぁ

自分がウエットスーツを着て、これは微妙だなぁ〜って思う要素がほんの少しでもあったらイヤですからね。
腕が重たくない、動きが軽くなる、疲れにくい、冷えない、これらが揃えば、真冬のサーフィンも夏と同じように楽しめますよね。

 

僕がウエットスーツの三重苦って呼んでいるのがあるんですけど

  • 動きにくくなる
  • 動きが重たくなる
  • 動きが遅くなる

冬のウエットスーツやフルスーツを着たときに、必ず発生しますよね。
この三重苦をどれだけ減らせるのか?最終的には無くせるのか?がウエットスーツを選ぶ基準だと僕は考えています。

 

暖かい素材でも寒くなる原因は何??

真冬のウエットスーツの生地は進化しているので、暖かさは良くなっているはずです。
けれど、暖かい素材を使っても段々と寒いと感じるのは何故だと思いますか?
それは、ウエットスーツの三重苦が関係しているんですよね。

3重苦があると、カラダが動かなくなります。
動かなくなれば、代謝は下がり血行も悪くなります。
動けなくなればなるほど、水に浸かっているふくらはぎの血液の温度が低下してします。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれる程、血液が溜まっています。

そして、徐々に水に浸かっているふくらはぎ血液の温度が下がり少しずつ体温が低下、波を取りに行こうと動き出したときに冷たい血液が全身を巡るので体温は一気に低下し、カラダの芯から冷えるようになってしまいます。
さらに、カラダが冷えれば筋肉も固まってしまい、さらに思うように動けなくなる・・・
冬のサーフィンでカラダが冷える負のメカニズムです。

一方、三重苦が減っている、もしくは解決出来ていると、カラダが思うように動く状態に近くなります。
動けるので代謝も上がり、血行も良くなります。
動けば動くほど血液の温度の低下を防ぐ事が出来て、カラダが冷えてないので筋肉が寒さで固まると言うことも回避できます。

暖かい生地だけで選んでしまうとホント失敗する原因なので、選ぶ基準を持つ事でかなりの確率で回避出来ます。
もし、試着出来る場合は試着して、実際に動いて感じてみるのがオススメ。

前置きが長くなってしまいましたが(笑

ウエットスーツの三重苦の1つ、「動きにくくなる」は前回書きましたね〜
→動きが軽い時と重たいときの違い

今日は、動きが重たくなるについてです。

 

ウエットスーツを着ると動きが重たくなるのは何故だと思いますか?

ウエットスーツを着るから、当たり前なのでしょうか・・・
重量が2〜3キロ増え、腕や足を厚いゴムでカラダを覆うから、カラダのバランスが変わり、色々な所に負荷がかかってしまいますよね〜

何故、カラダのバランスが変わるの?って考えてみると、答えは
”ウエットスーツに重心が設定されてないから”なんですよね。

ウエットスーツの重心??何それ?って思うかも知れませんよね。
僕も、今年の1月に気付いた要素なんですよね。

車って、重心がもの凄く精密に設計されていますよね。
なぜならば、安全や走り、そして様々なパーツの耐久性に関わる最も重要な要素の1つだから。

そして、サーフボードも重心ってありますよね?
どこにセンターを設定するか?でボードの特性が大きく変わってきます。
前側にセンターを設定すれば、走り出しの初動が速くなる。
後ろ側にセンターを設定すれば、走り出しの初動は遅くなるけど水の流れを加速させやすくなるので加速しやすくなります。

カラダの動きにも重心ってありますよね。
カラダの動きの重心って、何処を中心として動くのか?ということです。
言い方を変えれば、重心とはバランスの中心です。
止まっている状態でのカラダの重心ではなく、動きの中心という意味での重心です。

動きの重心はみぞおちを基本として、
へそ下に重心を置いたり、胸に重心を上げたり。
両方のへそ下と胸の間で重心を移動させたり。
もしくはみぞおちに重心を置いて動く場合も、もちろんあります。

動きの基本となる重心の位置は、みぞおちに置いておくとコントロールしやすくなり、使い分けをする事が出来るようになります。
重心って、バランスの土台になるので動きに最も影響を与える要素なのです。

もし、ウエットスーツを着ることで、自分の重心が無意識で変わってしまうとしたら、どうでしょうか?
バランスが無意識で変わっているのって、イヤじゃないですか?

重心が変わると、感覚のズレが必ず発生してしまいます。
夏のシーズンや半袖のシーガルを着ているときには”感覚のズレ”をあまり感じないと思います。
それは、重心、つまりカラダのバランスが変わっていないので、感覚のズレも発生しないからです。

ウエットスーツを着ると感じる違和感の1つって、無意識に自分の重心が変わってしまう事。
これがウエットスーツをネガティヴに思う要素の1つの正体です。

テイクオフで腰や足の動きが重たいのならば、ウエットスーツの重心が下の方にあるのかもしれません。
パドルで腕の動きが重たいと感じるのならば、ウエットスーツの重心が下(足の方)にあって動きが引っ張られているのかも知れません。

 

見た目が重そう・・・

見た目で、”このウエットスーツ重たそうだなぁ〜”
ってなんとなく思った理、感じた事ってありませんか?

色々なウエットスーツを手に取って見たりしてリサーチしてるんですけど、
重たそうに見えるのは、重心が下半身にある事が多い。
逆に軽そうに見えるのは真ん中より上側にある事が多いです。

見た目が重そうに感じるのを着ると、面白い位にカラダも重たくなってしまいます。
潜在的に影響されてしまいますからね〜自分では気付かないんです。

セミドライなど、冬のウエットスーツは2キロ位から、重たいモノだと5kgはあったりします。
特にここ数年はゆったりめで作られているウエットスーツが多いので、生地を使う量が多く重量も増えています。

例えば5キロの重さがあり、重心が設定されていないウエットスーツ。
重心が下半身の太もも付近にあれば、着るだけで想像以上にバランスが崩れてしまいます。
下に引っ張られるような感覚を感じると思います。
それが、動きが重たくなると感じる、本当の原因なんです。

今までウエットスーツで重心って考えられたことの無い要素。
そんなの関係ないよ?って思われるけど、カラダの上に着るからダイレクトに影響をするんですよね〜

いやぁ〜嘘くさいけど、本当の話。
信じる信じないはあなた次第ですが(笑

 

これもね、実際に検証してみたの。

重心の設計されてなくてダイビング型のウエットスーツと、スイム型で重心をみぞおちに設定したウエットスーツで着比べてみたんですよね。

左がダイビング型、右がスイム型

本当は重心の設定を変えただけ同じモノでやるのがベストですが、今回はウエットスーツを着た時の3重苦で比較しています。
そして同じ素材を使って比較しています。
もっと条件を揃えるためにチェストジップ版も制作中で、届いたら実験検証する予定。

※この検証の数値は個人的な評価なので、感じ方は人それぞれ違うかもしれません。

 

もう、着た瞬間に違和感が気持ち悪かった!(笑
パドルは重たいし、カラダのバランスが変わるのでサーフィンの動きの補正をするのに時間がかかってしまった。
サーフィンの調子も悪くなってしまうし・・・・
ウエットに慣れるのに時間がかかるって、ここが原因なのね。
しかも、半端なく体力を消耗する。
いつも1時間半位入った時の疲労感と比べると、2〜3倍の疲労感に襲われたかな^^;

もう、二度とこの実験検証をしたくないレベル(笑

 

ウエットスーツの重心の判別方法は、、、

かなり抽象的になるですが、ハンガーに吊してみて重たそうに見えるのは重心全体のが下側にあります。
軽そうに見えるのは、重心が全体の上側に見えます。

そして、ぼんやりと見て目の行くところが大抵の場合、そのウエットスーツの重心になります。
メチャクチャ抽象的ですよね(笑

左がダイビング型、右がスイム型。 写真だと分かりづらいが、左のウエットスーツはなんとなく重たく見える。

 

因みにこの見る方法、潜在的にモノを見る方法の練習にもなります。
全体を捉えて、中心を見るという練習ですね。

ウエットスーツを着た時の重心。
バランスは動く上での基本ですし、サーフィンってバランスが極めて重要な要素ですよね。
抽象的ですが、選ぶ基準の参考になればと思います。

今持っているフルスーツ等で見てみると、実際に店頭などで見た時に判別しやすくなります。
まずは、今持っているウエットスーツを見る事からやってみましょう♪

 

P.S.

僕が開発したパフォーマンス・スーツはダイビング型とスイム型のハイブリッドタイプを採用しています^^
ウエットスーツの重心をみぞおちに設定する事により、着た時のバランスが崩れる事を防いでいます。
今まで着ている方は、パフォーマンス・スーツを着ることで軸を感じる事が出来ると行ってくれている方もいる位です。
さらに、ドライを着る機会が無くなったと言われる位、カラダが冷えません。
詳しくはこちらから
ハイ・パフォーマンスタイプ:R8 mk4 
パフォーマンスタイプ:R5 mk3

 

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